令和元年度 身体障害者部会④
平成元年10月9日の身体障害者部会では脳性まひによる四肢に重度の運動障害があり,車椅子で生活する花ノ木清孝さんの自立生活について自宅を訪問し,生い立ちから現在の生活に至るまでの思いやこれからについての話を聞かせていただいた。花ノ木さんは14年前に介護事業所Links広島を仲間とともに立ち上げ,運営に携わりながら同時に障害者サポートセンター・together広島を併設し,障碍者の自立に関する相談及び諸問題の解決,行政に対する交渉と運動,ピア・カウンセリングなど行っている。この事業所は自立生活センター(CIL)として運営の中に何人かの重度障害者が加わり,障害をもつ人が通常のアパートなどで独立した生活を営むために「障害者自ら(当事者)」が中心となって各種のサポートを提供する民間機関である。
http://www1.megaegg.ne.jp/~links/
現在は安佐南区内の賃貸住宅で24時間体制でのサポートを受け,ブリキのおもちゃ集めや写真撮影あんどの趣味を楽しみながら充実した生活を送られている。写真撮影では,最近コンテストなどで入選,入賞するほどの腕前である。
花ノ木さんの自立生活は15年前の50歳から始め2回目であった。それまでは,入所施設での生活が長く家族の反対もあったが,友人や仲間との良い出会いもあり自立生活を始めることができた。ただ,障碍者にはなかなか住宅を貸してもらえず見つけるのにかなり苦労されたそうである。
さて,花ノ木さんの家だが,住宅改修をしている部分は玄関の昇降機のみであり,玄関のスロープは友人の手作り,ふすまや仕切り戸は以前あったが車椅子で壊してしまうということでアコーディオンカーテンにしている。もともと大きな段差はないが,車椅子でも動きやすいフローリングカーペットを敷き敷居の少しの段差が気にならないように工夫されていた。トイレやお風呂は手すりが付いている程度。部屋には趣味であるブリキのおもちゃや写真,レトロな看板に囲まれていた。
花ノ木さんは年齢が66歳で,1年前から介護保険受給者となり障害者総合支援法との狭間で色々矛盾を感じながら生活しているが,たとえ認知症になって訳の分らないことを言うようになっても一生この安佐南区の自宅で暮らしていこうと思う。とおっしゃっていた。
見学後には花ノ木さん自身がパソコンで打った生い立ちや思いをヘルパーさんが代読し,その後は障害者生活支援センター・てごーすの工藤さんからCILについての説明があり今回の部会は終了した。
快く見学を受け入れていただいた花ノ木さんありがとうございました。
※個人名,写真については本人の同意を得て掲載しております。